寺の怪物
「寺の怪物」という屋久島ツアーで人気のある屋久島の民話があります。
むかし、むかし。
あるところに、和尚さんが何人つとめても、すぐ何ものかに殺されてしまう寺がありました。
何人めかの和尚さんがやってきて、その寺にはいりました。その和尚さんは、
「何ものが出るか、わしが見とどけてやろう」
といって、一晩じゅう寝ないでじっと待っていました。ところが、ちょうど真夜中ごろ、
「くっくっくっ、くっくっくっ」
という声がしてきました。
「いま出たか。はて、あれは何の声じゃろうか」
と思いながら、和尚さんがあたりを見まわすと、寺の隅のほうから、わざえいな丈の高いものが、
くっくっくっ、くっくっくっ
といいながら、のそっ、のそっと出てきました。
「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経-…・」
和尚さんは一心にお題目をとなえはじめました。
すると怪物はそこにおれないで、じりじり、じりじりとさがって行きました。
どこさね行くどかい、と思いながら、和尚さんが横目で見ていると、もとの隅のほうへひっこんで見えなくなってしまいました。
「おかしかなあ。あげなところにはいって行って何ものじゃろうか。」
和尚さんは首をひねりながら、おそるおそるそこに行ってみました。
すると、「うとうげ」という骨壺があって、中に骨がたった一片はいっていました。
それは千年もたった鶏の骨でした。和尚さんは、
「うーん、なるほどなあ。鶏の骨も千年を通せば人餌をとるものか」
とつくづく感心し、その骨を供養して、ていねいに埋めてやりました。
それからもう怪物は出なくなりましたげな。
おしまい。